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ザ・プラン9 「WARAKASHI~笑か師」全てが素晴らしかった舞台でした。

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近鉄アート館は、今から18年前、劇団NODA MAPの「RIGHT EYE」と言う芝居を観て以来。これは見事な芝居で、僕は上映期間中3回も観に行った。牧瀬里穂吹越満、そして野田秀樹の3人だけの芝居であったが、とても美しく、詩的で、野田さんの芝居の中では一番好きな芝居だった。

 

その後、近鉄アート館は演劇関係の上演はしなくなったのだが、最近、再び上演を始めた。小劇場としてはちょうどいい広さだ。もっと関東の劇団なんかもここで上演してほしいなあ。

 

さて、ザ・プラン9の「WARAKASHI~笑か師」。ザ・プラン9はもともと5人のお笑いユニットで、かつてはM-1の決勝にも残ったことがある。二人組以外でM-1決勝に残った唯一のユニットであるとのことだ。

 

4人のボケを唯一のツッコミのヤナギブソンが突っ込みまくるスタイルは斬新で唯一無二で、むちゃくちゃ面白かった。

 

それが一人辞め、二人辞め、で、現在の3名体制になった。浅越ゴエはR-1で優勝経験もあるし、ヤナギブソンはR-1ファイナリストでもあり、お〜い!久馬は作家やお笑いの審査員としてもよく見る。

 

個々がすでに活躍の場を見つけているにもかかわらず、残った3人がプラン9として活動を続ける姿勢に、何か胸を打たれるものがある。思い出深い近鉄アート館と言うこともあり、見に行かせてもらった。

 

18日の日曜日の公演に行かせてもらったのだが、この日の出演者にはなんと NON STYLE 石田の名前がクレジットされていた。

 

物語は、賞金5000万円というお笑いトーナメントに出場する、6組のお笑いコンビたちの物語。喧嘩別れする者、新コンビで苦労する者、芸歴50年の師匠、数十年ぶりに再結成する二人。

 

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芸能ネタに興味がない方でも、お笑いコンビNON STYLE井上裕介が、12月11日に交通事故を起こしながらその場を立ち去ったと言う事件で無期限謹慎となって、年末の芸能界がとても混乱している状況について、少しはご存知かと思う。

 

石田は井上の相方であるので、難しい立場だ。井上のやったことは、法律違反であることは明白で、言い訳のしようもない。石田はこの件について、相方として世間に謝罪しなければいけないし、NON STYLEとして活動を続ける以上、井上が復帰するまでは一人でNON STYLEを守って行かねばならない。

 

そしてNON STYLEが漫才師である以上、笑いを取らなくてはならない。当然、世間が大注目しているこの件をスルーできない。しかし下手に笑いにしたら、それこそ不謹慎と叩かれ、炎上し、NON STYLEがより難しい立場になってしまう。

 

昨日の公演は初めから石田一人が出演する形だったので井上の件による混乱はなかったが、石田の態度には注目していた。

 

結論から言うと、石田はとても良かった。300人の客で、マスコミもいなかったし、やりやすかったと思うが、劇中、「あんまり下手なこと言うたら…」とアドリブを入れたりして笑いを取っていた。

 

石田の役は、芸歴50年の「日の丸ライムライト」と言う老漫才師の、ライム師匠。往年のギャグ「ごめんねソーリー!!」を武器に笑いを取っていくのだが、(このギャグの後、石田はボソッと「最近、わし、謝ってばっかりやな」とつぶやき爆笑を誘う。石田なりの、見事な距離感で、事件を笑いに変えていた)よる年波には勝てず、痴呆の症状が見え始めてくる。相方のライト(バッファロー吾郎・竹若)はそんな相方をカバーするため、ライムは手帳を読めばいいだけ、と言うネタを作るが、やがてそれすらできなくなるライム。

 

チャップリンの名曲「ライムライト」が流れる中、漫才ができなくなる悲しみに震えるライムに、ライトが言う。

 

わしはもう、あんたの体の方が心配や。何万回も言われてきたけど、最後はわしが言わせてもらう。「やめさせてもらうわ!」

 

このシーンは女性客のほとんどが涙を流す名シーンであった。石田明は見事にライム師匠に、竹若元博はライト師匠なりきっていた。

 

この後、ライムライトは実は兄弟で、デビュー仕立ての頃は父親と3人で漫才をしていた過去がわかり、時間が戻って若い頃の元気一杯の漫才になる。悲しい場面をきっちりと笑いで挽回する久馬演出であった。

 

闇金ウシジマくん」のパート2で、準主役的な役を演じていた永野宗典。京都の劇団ヨーロッパ企画の役者だ。ウシジマくんでは、前半は、嫌悪感すら抱かせるニートで、闇金からの借金がかさみ、ホームレスになるが、両親が入院したことを知り、横浜から東京まで走って帰る。途中、頭部に重傷を負うが、医者に行く金も時間もないため、ガムテープで頭部をぐるぐる巻きにして、その異様ないでたちのまま、東京まで走って、親を見舞う、という役を演じていた。とても演技に見えないほどの迫真の演技であった。

 

永野宗典は、ヤナギブソンとシティーライツと言うコンビを組んでいる役なのだが、バイトに明け暮れ、ヤナギブソンと喧嘩別れしてしまう。ピン芸人になりながらもお笑いコンテストを目指すが、自らの限界を知り、芸人を諦める。

 

こんな役をやらせたら永野宗典は素晴らしい。なぜ彼をキャスティングしたのか。駄目男の哀愁を見事に表現していた。

 

アキナのシーンはとにかく笑った。ネタが、とにかくアキナワールドだった。

 

山名:パンはパンでも、食べられないパンは?

 

秋山:え〜?まじか?でもここはあえて、「ピーターパン」

 

山名:ブー!答えは「フライパン」でした!

 

秋山:でも別に「ピーターパン」でもエエやんか!

 

山名:いいや!ピーターパンは、「焼いたら食える」

 

など、山名という人間の恐怖な様子を小出しにするネタで、むちゃくちゃ面白かった。

 

カーテンコールで、作・演出の久馬が言っていたが、「なぜ、小島(久馬演じる松葉杖の男)が足を悪くしたのか、のネタだけで引っ張った2時間半」と言っていたがそんなことはない。

 

お笑いは数字で表せない、という、賞レース全盛のこの時代に彼らなりの警鐘を鳴らしたかったのだろう。

 

ラストでは、ずっと湿っぽい演技を続けてきたゴエと久馬が、黄金のタンクトップを着て、全力でショートコントをする。これがまた笑った笑った!

 

涙と笑いが絶妙にブレンドされ、素晴らしい出演者による、素晴らしい舞台だった。